会社で不当な扱いを受けたことはないですか?
月100時間を超えるような残業や残業代の未払い、休日や休憩時間がなかったり、労災隠しや最低賃金を下回るなど、労働条件が労働契約の内容と違うことは良くあることです。
一個人が会社に訴えることで会社側は心を入れ替えて改善するでしょうか?
会社に訴えたことにより、さらに不当な仕打ちを受けてしまう可能性も、もちろんあります。
では泣き寝入りするしかないのか?そんなことはないです。
会社が動かないのなら、外部から圧力をかければいいのです。
そこで利用するのが『労働基準監督署』です。
今回は、『労働基準監督署』とは何をしてくれる所なのか、相談したいが会社にバレない方法はあるのかなど通報に関する流れと気を付けるべき点を交えながら解説していきます。

労働基準監督署とは、何をしてくれるの?

『労働基準監督署』とは、会社が労働関係法令をちゃんと守っているか監督してくれる厚生労働省からなる機関で、労働基準法違反を取り締まります。
労働基準監督官の数は全国で約3000人なのに対し令和3年度の総合労働相談件数は年間124万2,579件となっており、毎年100万件を超えています。
職場で悩みを抱えている人は数多く存在し、少ない人員で労働基準監督官はカバーしなくてはいけないので大変です。
『労働基準監督署』には「労働基準監督官」という専門職員が会社を調査し警察同様に逮捕や捜査ができる権限をもっており、企業に対し是正勧告ができます。
労働基準監督署に相談できる内容
労働基準法に違反する主な相談内容は以下の通りです。
- 賃金の未払いがある。
- 長時間労働を強いられる。
- 安全を配慮していない危険な作業。
- 不当な雇用契約など行う。
- 不当な解雇を言い渡されたとき。
- 休日や有休休暇などの休みを貰えない。
- 会社が倒産してしまったとき。
このような内容を『労働基準監督署』に相談することで、具体的なアドバイスをしてくれたり悪質な場合は解決のために動いてくれることもあります。
労働基準監督署に相談できない意外な内容
会社で起きた悩みをなんでも聞いてくれるとは限りません。
『労働基準監督署』はあくまで労働関係法令を守る役割を担っていますので、特に人間関係のトラブルに関しては労働基準法の範囲を超えてしまう場合があります。
- パワハラ・モラハラ・セクハラ等のハラスメント
- いじめや嫌がらせ
- 納得できない人事評価
これらの相談は、労働局や労働基準監督署内に設置してある『総合労働相談コーナー』で相談することができます。

労働基準監督署は企業から不当な扱いを受けている従業員を助ける役割を担っています。相談することで会社が大事にならないかと心配する人がいますが、自分を守るためにも誰かに相談して状況を改善していくことをオススメします。
労働基準監督署とは、匿名で相談できるのか?

『労働基準監督署』に相談したことが、会社側にバレないか心配でなかなか行動に踏み切れない人はたくさんいます。
匿名で相談できれば、だいぶ敷居が下がるので匿名で、相談が可能なのか?また、匿名で相談した時のメリットとデメリットを解説していきます。
労働基準監督署には匿名で相談できる
『労働基準監督署』は匿名で相談できます。
しかし、匿名で相談するとメリットとデメリットが発生するので自分がどうして欲しいのか良く考えてから相談しましょう。
労働基準監督署に匿名で相談するメリット
匿名で相談するメリットは以下の内容になります。
- 身バレしないから、気軽に相談しやすい。
- 会社にバレないから、職場の立場が守られる。
職場で相談することが難しい場合は、一度『労働基準監督署』に匿名で相談してみると、進展する可能性があります。
労働基準監督署に匿名で相談するデメリット
匿名で相談するデメリットは以下の内容になります。
- 個人や会社に関する情報を話せないため、適切な回答を得られない場合がある。
- 情報や証拠不十分で労働基準監督署に動いてもらうことが難しくなる。
相談するからには適切な対応を求めたくなりますが、『労働基準監督署』に動いてもらうには証拠や情報を提示する必要があります。

匿名で相談するときはデメリットを受け入れ、もし情報を開示することが必要だと判断した場合は、会社から不利益を受けないよう良く相談してから行動してもらいましょう。
労働基準監督署とは?匿名で相談したのに会社にバレる理由

労働基準監督署には守秘義務がある
労働基準法第105条に「労働基準監督官は、職務上知り得た秘密を漏してはならない」という決まりがあります。
もし『労働基準監督署』に企業への介入を希望した場合も、匿名性は守られます。
しかし介入する以上、従業員に通告されたと企業側は気づくので、絶対にバレないためにも細心の注意が必要となってきます。
労働基準監督署に匿名で相談したのにバレる理由
『労働基準監督署』が会社に相談者の情報を言わなくてもバレることがあります。
- 職場の社員に相談したことを打ち明けてしまう。
- 会社に相談したあとに労働基準監督署が介入した場合。
- 労働基準監督署が介入した内容の対象者が相談者しかいない場合
- 従業員が少なく容易に特定できてしまう場合。
信用できる同僚でも、関係が壊れれば密告する恐れもありますし、特定しやすい状況で『労働基準監督署』が介入すると確定じゃないにしろ疑われる可能性はあるので、よく過去の状況を思い返してから行動に移しましょう。
労働基準監督署に相談したことがバレたときは?
労働基準法には以下の法律があります。
労働基準法第104条
- 事業場に、この法律又はこの法律に基いて発する命令に違反する事実がある場合においては、労働者は、その事実を行政官庁又は労働基準監督官に申告することができる。
- 使用者は、前項の申告をしたことを理由として、労働者に対して解雇その他不利益な取扱をしてはならない。
『労働基準監督署』に通報したことで、解雇や不利益を受けた場合は、労基法違反となるので解雇の無効を主張したり、慰謝料等の請求が可能になる場合があります。

労働基準監督署に守秘義務があったとしても自分のとった行動が特定に繋がることもあるので注意しましょう。もしバレて不当な扱いを受けた場合は、法的措置を検討してください。その場合は、十分な証拠が必要となるため記録や録音などを残してください。

労働基準監督署とは?匿名で相談する方法

『労働基準監督署』の相談方法は大きく分けて3つあります。
自分の置かれている状況に合わせて問い合わせすればいいですが、相談方法によってはうまく伝わらなかったり、時間がかかったりするので自分にあった手段で相談してください。
もちろん、相談手段が合わなければ変更することは可能です。
メールで労働基準監督署に相談する
『労働基準監督署』へのメール相談は「労働基準関係情報メール窓口」より受け付けています。
メール相談は、個人的にはかなりハードルが高いと感じているため、おすすめできません。
「労働基準法の内容」や「情報提供のポイント」の確認などメールの作成までにかなりの労力がかかりますし、なにより優先度が低くなったり時間をかけて何度もコミュニケーションをとる必要があります。
電話で労働基準監督署に相談する
電話で相談する場合は、「労働条件相談ほっとライン」より受け付けています。
開設時間:月~金:17:00~22:00 土・日・祝日:9:00~21:00※12月29日~1月3日を除く
通話料は無料で夜に開設してくれているので、どこでも気軽に相談できる一番敷居が低い相談方法です。
相談だけなら電話が一番お手軽ですが、会社への介入を望むなら情報や証拠も必要になってくるので、まずはライトな感じで相談し、必要な場合は窓口に足を運ぶのが良いでしょう。
直接労働基準監督署の窓口へ行き相談する
最寄りの相談窓口は「労働基準行政の相談窓口」よりお探しください。
気持ちの準備がいりますが、直接顔を合わせて相談するのでお互いの理解度も深まりますしレスポンスも早いです。
もし話が広がり、管轄外の悩みが浮上しても「総合労働相談コーナー」が設置してあるケースが高いので、各種ハラスメントやいじめ行為などの相談も取り次いでくれます。

話すのが苦手な人や交通手段が少ない人など、自分に合った方法で相談を検討してみてください。
労働基準監督署とは?相談する前に準備すること

『労働基準監督署』は何ができ、どんな相談を受け付けてくれるのかが分かったところで、相談前に準備しておくことを解説します。
行き当たりばったりでは、話がなかなか進みませんし、支離滅裂で信用に欠く場合があります。
この場合、匿名ではなく実名の直接訪問のかたちとなり、会社と戦う決意が必要となりますが、「証拠」と「事実関係」を準備して相談に望めば『労働基準監督』も動いてくれる可能性が高まるので解決に近づきます。
出来る限り証拠を集める
起きている問題によって必要になる証拠が異なるのでいくつか紹介していきます。
給与、残業代、手当などの給料未払いがわかる証拠
- 雇用契約書
- 就業規則
- 源泉徴収票
- 給与明細/口座の入金履歴
残業時間数がわかる証拠
- タイムカードや勤怠管理システムの記録(手書きでも可)
- 勤務表
- 社内システムからのログインやログアウトの履歴
- 業務/作業日報
- 運転日報/タクシーの領収書
- 業務上のメール・FAXの送信記録
不当解雇や不当な懲戒処分を受けた証拠
- 解雇通知書
- 解雇や懲戒処分を示す音声やメール
事実関係を整理する
あなたが抱えている悩みやトラブルを時系列や箇条書きなどで整理することで、『労働基準監督署』の担当者と円滑に相談を進められ、適切な解決策を貰える可能性が高まります。
事実関係の整理に困ったときは5W1Hを用いると分かりやすいです。
- When:いつから問題は発生しているのか。
- Where:どこで問題が発生したのか。
- Who:誰が問題となっているのか。
- What:なにをするときに問題が起きるのか。
- Why:なぜ問題は起きるのか。
- How:どのようにして解決して欲しいのか。

労働基準監督の力で何とかしたい場合は、実名で直接窓口に行きましょう。事実関係を整理し証拠を提出すると少ない職員でも緊急性が高い内容と認められ行動に移してもらえる場合があります。
労働基準監督署とはあなたを会社から守るための組織です

いかがでしたか?
『労働基準監督署』のことが身近に感じられるようになったのではないでしょうか?
厚生労働省の名前がでると委縮して行動に移しづらいですが、従業員のための行政機関ですので上手に利用して、少しでも精神的負担を和らげて貰えると幸いです。
相談すれば解決してくれるわけではないので、過度な期待はしないようにしましょう。
確実な違法性と確たる証拠があれば、対応してくれるでしょうが、なかなか個人で証明するのは難しい部分があるので、『労働基準監督署』の担当の方とよく話し合い解決に導けるよう進めてください。

今回は労働基準監督署の解説をしました。悩み多き現代社会を生き抜くため、いろいろな手段を学び、自分を守ることがこれからの人生を幸福に導いていくテクニックです。