皆さんの職場は、安全に作業できていますか?
危険が潜んでいても仕事の慣れにより危険が見えなくなってしまい重大な労働災害に繋がることもあります。
今回は、厚生労働省より発表された「令和4年労働災害発生状況(11月速報値)」の速報を受け緊急でブログでを執筆しました。
近年まれにみる労働災害が発生している理由「第三次産業」と、災害時の「給付額」「慰謝料」と「KYT」「ヒヤリハット」などの予防策などを解説します。

労働災害危険な職場!34年間の休業4日以上の労災推移
引用:実務家のための労働安全衛生のサイト
過去1988年から2021年の「休業4日以上労働災害の推移」です。
死傷者数が一番抑えられた2009年の114,152人以降緩やかに増加傾向にあったが、2021年より149,918人まで急激に上昇しました。
そして2022年は10月の時点で、すでに183,298人と前年を追い抜いており、1992年の死傷者数189,589人に迫る勢いです。
なぜ近代化した社会でこのような災害が急増するのか理由を調査していきます。

私の会社でも9月に大きい労働災害が発生しました。
安全第一と言いますがここ数年で何があったのでしょうか?
労働災害危険な職場!労災の発生理由を調査
引用:厚生労働省「令和4年労働災害状況(11月速報値)」
右のグラフを見る限り、「第三次産業」が労働災害を悪化させていることが分かります。
では第三次産業とは、どういった職業なのでしょうか?
第三次産業とは?
【産業の分類】
- 第一次産業:農業、林業、鉱業、漁業(水産業)
- 第二次産業:製造業、建設業、電気・ガス・鉱業
- 第三次産業:それ以外
第三次産業は、この100年で倍以上に成長しましたこともあり、さらなる分類が必要となっています。
- 商業
- 金融・広告
- 保健衛生業
- 接客・娯楽
- 清掃・と畜
- 警備業
- その他
産業の分類も定義があいまいで一概には決めつけることが出来ないが上記の産業を第三次産業としています。

これだけ第三次産業が発展していると労働災害が増えるのは分かりますが、あまりにも増えすぎです。
労働災害危険な職場!なぜ労災は増えたのか?
引用:実務家のための労働安全衛生のサイト
第三次産業だけで分類したグラフですが、保険衛生業が突出しています。
令和3年と4年の第三次産業の数値を厚生労働省のデータより抜粋すると「保険衛生業」と「社会保険福祉」に問題があることが分かりました。
令和3年 1月~12月 | 令和4年 1月~10月 | 差 | |
商業 | 16,156 | 17,179 | 1,023 |
うち小売業 | 12,235 | 12,802 | 567 |
金融・広告 | 934 | 844 | -90 |
通信 | 1,939 | 2,105 | 166 |
保健衛生業 | 22,008 | 87,347 | 65,339 |
社会福祉施設 | 13,572 | 44,520 | 30,948 |
接客・娯楽 | 6,277 | 7,336 | 1,059 |
飲食業 | 3,647 | 4,205 | 558 |
清掃・と畜 | 5,023 | 5,388 | 365 |
警備業 | 1,536 | 1,599 | 63 |
その他 | 5,347 | 6,479 | 1,132 |
合計 | 88,674 | 189,804 | 101,130 |
保険衛生業と社会保険福祉の労働災害が増えた理由:コロナの影響
保険衛生業と社会保険福祉は、コロナの影響を受けやすいことが影響して労働災害に繋がった可能性が高いです。
保険衛生業と社会保険福祉がいかに過酷な状況だったかが伺い知れます。
保険衛生業と社会保険福祉の労働災害が増えた理由:労災隠しの発覚
コロナの影響だけではなく保険衛生業と社会保険福祉の労働災害は、ここ20年右肩上がりです。
理由としては、業種の急拡大が大きな要因ですが、業種における労働条件が社会的に注目を集めたことで「労災隠し」ができなくなったことも要因ではないかと推測されています。
労働災害が増えた理由:高齢者の増加
引用:厚生労働省「令和3年 高年齢労働者の労働災害発生状況」
全体的に労働災害が増加しているのは高齢者の起因も影響しています。
50代より増加傾向となり70代までの間「墜落・転落」「転倒」「動作の反動・無理な作業」「はさまれ・巻き込まれ」全てにおいて高い値です。
職場の高齢化は今以上に進むので、高齢者を労働災害から守る仕組みが必要とされています。

ここ最近の第三次産業の労働災害の増加は、コロナの影響と産業の発展が大きな起因となっています。
また高齢者の増加により労働災害はさらに加速する恐れがあります。
労働災害危険な職場!労災は多いが死亡事故は減少傾向
引用:実務家のための労働安全衛生のサイト
グラフで分かる通り死亡事故は減少傾向で、2021年はコロナの影響もあり867人と増加しましたが2022年11月7現在で589人と概ね横ばいの形となっています。
30年前に比べると死亡災害者数はかなり減少傾向となっていますが、まだまだ改善が必要です。
死亡災害の発生状況は?
厚生労働省の調査によると令和3年の業種、事故の型別死亡災害発生状況の内訳は以下となります。
墜 落 ・ 転 倒 | 転 倒 | 激 突 | 飛 来 ・ 落 下 | 崩 壊 ・ 倒 壊 | 激 突 さ れ | は さ ま れ ・ 巻 き 込 ま れ | 切 れ ・ こ す れ | お ぼ れ | 高 温 ・ 低 温 物 と の 接 触 | 有 害 物 と の 接 触 | 感 電 | 爆 発 | 破 裂 | 火 災 | 交 通 事 故 道 路 | 交 通 事 故 そ の 他 | そ の 他 | 分 類 不 能 | 合 計 |
217 | 26 | 3 | 38 | 42 | 62 | 135 | 2 | 25 | 22 | 17 | 13 | 3 | 1 | 8 | 129 | 6 | 113 | 5 | 113 |
特に多いのが「転落・転倒」「はさまれ・巻き込まれ」「交通事故」となっており、自分の職場でこれらの災害が起きそうな所をみつけたら速やかに改善に取り組むことをオススメします。
死亡災害の多い産業は?
同じく厚生労働省の調査による令和3年の業種、事故の型別死亡災害発生状況を産業別にまとめました。
全 産 業 | 製 造 業 | 鉱 業 | 建 設 業 | 交 通 運 輸 事 業 | 陸 上 貨 物 運 送 事 業 | 港 湾 運 送 業 | 林 業 | 農 業 ・ 畜 産 ・ 水 産 | 第 三 次 産 業 |
217 | 25 | 4 | 110 | 1 | 12 | 0 | 5 | 12 | 48 |
特に多いのが「建設業で」他の産業と比較しても突出しています。
建設業の方は、作業をするうえで十分な安全作業に取り組んでください。

労働災害は特定の産業に固まって発生することが分かりました。
これらの傾向が分かれば対策も打ちやすくなるので、ぜひ参考にして職場改善に取り入れてください。

労働災害危険な職場!労災は労基署が介入する

労働者が職場で負傷した場合は、労災保険給付の請求を労基署に報告しなければならなく、4日未満の労働災害については企業側が労働者に休業補償を行わなければいけません。
労働災害発生に関わる会社側の責任と義務
会社側は、労働災害の発生により労働者が死亡又は休業するようなことがあれば、ただちに労働者死傷病報告を労基署に提出しなければなりません。
- 労働者が労働災害により、負傷、窒息又は急性中毒により死亡し又は休業したとき
- 労働者が就業中に負傷、窒息又は急性中毒により死亡し又は休業したとき
- 労働者が事業場内又はその附属建設物内で負傷、窒息又は急性中毒により死亡し又は休業したとき
- 労働者が事業の附属寄宿舎内で負傷、窒息又は急性中毒により死亡し又は休業したとき
労働災害再発防止対策の策定・実施
会社側は、労働災害が発生した場合は、速やかに是正処置を行わなければなりません。
場合によっては、労働災害再発防止書等の作成・提出を行い、事故発生要因全ての是正を行わなければならなくなり非常に時間と労力を使うこととなります。
なにより災害を受けた労働者には、それ以上にケアしなくてはいけないので、それに関係する労働者も疲弊する恐れがあり二次災害を助長することになるので注意が必要です。

私の職場も最近大きな労働災害があり、装置の稼働停止や人員不足で数ヶ月大変でした。
労働災害のあとは二次災害が起きやすいので慌てずいつもより慎重に行動しましょう。
労働災害危険な職場!労災の重さにより保証が変わる
労働災害にあい、後遺症が残る場合は、労基署に障害補償給付の申請をすれば障害年金と労災給付が発生する場合があります。
障害年金と労災給付には等級が存在しており、それぞれ別の制度で運用されています。
- 障害等級 1級~3級
- 労災等級 1級~14級
上記のように別の制度のため両方から給付を受けられることになった場合でも併給調整が行われ全額給付を受けられるわけではありません。
詳しくは、厚生労働省より障害等級表が閲覧できるのでこちらより確認ください。
障害者補償給付として受け取れる給付内容
引用:厚生労働省より切り抜き
認定された後遺障害の等級によって給付額や給付方法が大きく変わるので注意が必要です。
- 1級~7級:障害特別年金
- 8級~14級:障害特別一時金
まずは、弁護士と相談して細かなアドバイスを貰う必要があります。

素人が見てもなかなか理解できないことが多いので弁護士と相談がして詳しい内容をすり合わせる必要があります。
労働災害危険な職場!労働災害時は慰謝料を請求できる

労働災害には、加害者、または会社側に対して慰謝料を請求することが可能です。
慰謝料の請求には大きく分けて「死亡慰謝料」「後遺症慰謝料」「入通院慰謝料」があります。
では、慰謝料の相場を見ていきましょう。
死亡慰謝料
労働災害により被害者が死亡した場合慰謝料を請求することができます。
- 死亡した労働者が一家の支柱の場合 2800万円
- 死亡した労働者が母親や配偶者の場合 2500万円
- 死亡した労働者上記以外の場合 2000万~2500万円
あくまでも相場ですので、時と場合により内容が異なるため弁護士等とよく相談ください。
後遺障害の慰謝料の相場
等級 | 慰謝料相場 |
1級 | 2800万円 |
2級 | 2370万円 |
3級 | 1990万円 |
4級 | 1670万円 |
5級 | 1400万円 |
6級 | 1180万円 |
7級 | 1000万円 |
8級 | 830万円 |
9級 | 690万円 |
10級 | 550万円 |
11級 | 420万円 |
12級 | 290万円 |
13級 | 180万円 |
14級 | 110万円 |
後遺障害の慰謝料については後遺症の等級の程度によって異なります。
あくまで相場であるため、将来得られるはずであった収入や逸失利益も後遺障害等級に加算されるので適正な後遺障害等級の認定を受ける必要があります。
もし、労基署の後遺障害等級に疑問を感じるようなら不服申し立てを行う必要があるので諦めないでください。
入通院の慰謝料
入通院の相場は、入院期間や通院期間に応じて慰謝料の相場が変わってくるので、通院履歴と診断内容など保管ください。

私は弁護士ではないので詳しいことをお話しできませんが、被害者の方は弁護士の方とよく相談し、納得のいく解決を得られように勤めてください。
労働災害危険な職場!KYTで労災から身を守る
KYTとは危険予知トレーニングの略で、従業員の安全に対する意識を高めるための訓練となっています。
ここでは基本的なKYTのラウンド法を解説していきます。

状況:あなたは足場の高さを工具を使って調整しようとしています。
KYTを行う時は、職場のチームで行うことが一般的で、チームの意見を共有することで危険に対する意識を高めることができます。
ラウンド | 手順 | 詳細内容 |
1R | 「現状把握」 どんな危険がひそんでいるか把握 | イラストにひそむ危険を見つけ出し、発表することで危険個所の共有を行う。 例:「手袋をしなので(要因)、ハンマーで高さ調整すると(行動)左手にハンマーが接触し打撲する。(現象)」 発表は出来るだけ多い方が望ましい。 |
2R | 「本質追及」 危険ポイントの追求 | ・発表した危険個所を全てマーキング(〇印)、さらに重要危険個所をチームで絞り込みマーキング(◎印)、これを「危険ポイント」とする。(チームで安全昭和するのが望ましい) |
3R | 「対策立案」 危険ポイントを解決する対策の立案 | 重要危険個所(◎印)を解決するための具体的な対策案をチームで発表する。 例:「手袋をしてはどうか?」「ハンマー以外で高さ調整できないか?」など |
4R | 「目標設定」 行動目標の設定 | いくつかの対策の中から効果的な方法をチームで絞り込み、「チーム行動目標」を設定する。 例:「手袋を装着して足場の高さ調整をしようヨシ!」 チーム行動目標をみんなで指差し唱和する。 |
KYTを行う上で最も大事なのが、チーム全員が意見しあえるようになることです。
安全に関することだから気を引き締めてKYTを行うのではなく、なるべく仕事感を出すことなく楽しい感じで実施した方がうまくいきます。
楽しく行う方が見当違いの意見でも受け入れやすく発言しやすいのが特徴ですが、作業中でもKYTを実施する従業員もでてくるのでオススメです。

初めは経験上うまくいった試しがないのがKYTです。
まずは、場を和らげて「危険個所」と「対策立案」だけでもいいのでKYTを始めていくことをオススメします。
労働災害危険な職場!ヒヤリハット活動で労災予防

ヒヤリハット活動とは、作業を行うなかで「ヒヤリ」「ハッと」したことを会社に報告し、是正する活動です。
リスクアセスメントの観点でも非常に重要な活動で、「ハインリッヒの法則」でいうと、「1件の重大事故の裏には29件の軽微な事故と300件の怪我に至らない事故がある」とまで言われているので、ぜひ積極的に取り組み職場の安全を守っていきましょう。
ヒヤリハット活動は、災害一歩手前を防止する手段
ヒヤリハットは、基本的に危険と思ったが幸い災害に繋がらなかったことをいい、これを何もせずに見逃すといつかは、大事故に繋がります。
ヒヤリハット活動を行っていない職場は、「危険と感じたのはあなたの不注意だ」と一蹴されることがあります。
もし、まだヒヤリハット活動を行っていない職場は、早急に活動を始めることをオススメします。

ヒヤリハット活動は危険を可視化できるイエローカードの状態です。
これを防がないと必ずいつか事故に繋がりますので徹底して是正してください。
労働災害危険な職場!労災補償よりも命が大事

いかがでしたでしょうか?
いろいろな影響で労働災害が増えていますが、労働災害が起きていい理由にはなりません。
最悪な事態にならないようにするためにも、企業に安全を委ねるのではなく従業員が一丸となって危険を予防していかないといけないことが分かったと思います。
「安全に安易な妥協は許されない!」
これを胸に留めて明日からの仕事に役立ててください。

災害は、多くの人を不幸にします。
安全があまりにも日常的になり過ぎて危険を常態化しないように危険にかんする感度を高めてください。
危険な職場から変わりたい場合は、資格を取って転職するのも一つの手段です。